「集団的自衛権行使」への解釈改憲を許すな

野田首相が、「国家戦略会議」の報告をよりどころに、憲法九条の解釈改憲に踏み出そうとしています。アメリカが攻撃されたときに自衛隊が何もできないんじゃ、日米同盟は崩壊してしまう、と心配しているようです。オスプレイの配備について「アメリカにどうこう言えない」という野田首相は、どこまでいっても国民よりアメリカを守りたいらしい。

 

中日新聞の14日の社説「平和国家・日本の国の形を安易に変えていいのか。解釈変更は認められぬ」とはっきり書いています。以下、要点です。

●集団的自衛権とはようするに、

・公海における米艦の防護

・アメリカに向かうかもしれない弾道ミサイルの迎撃

をできるようにしようということだと指摘。

●しかし、集団的自衛の行使を認めてしまえば、拡大解釈され、歯止めがきかなくなる。

●イラクに日本が深くのめりこまずにすんだのも、集団的自衛権の行使を禁じた政府解釈が歯止めになったことに留意すべき。

●政府で国民の審判も受けず、政権基盤も脆弱な野田内閣に、定着した(集団自衛権は行使できないとする)政府解釈を変える資格はそもそもないと自覚すべきである。

 

アメリカはアジア太平洋を重視する戦略に変えてきていますが、国防予算の削減にも取り組んでいるため、米軍の手薄になったところは日本に補完してもらいたい、というのが本音のようです。

 

ここにきて、国民新党、維新の会もあいついで集団的自衛権行使を認める綱領等を発表しています。まずはアメリカに認められるのが日本の政権の条件とわかっているからではないでしょうか。残念ながら、安保条約体制の日本の現状はそう言えます。(オスプレイ配備に)「どうこう言えない」という野田首相の発言、これほど端的にわかりやすく、米国に対する日本の身分を表現した言葉はなかったのではないでしょうか。集団的自衛権だ、独立国家の当然の権利だ、などと見得を切る前に、この現実を変えることこそ日本の政治家のすべきことと思いますが……。