アセアンがめざす非核東南アジア

●昨日の記事にいただいたコメントへのお返事ですが、核兵器の有無と兵員数の関連はないと思います…。兵員数の比較だけでは軍事力の比較にならないという意味で書いたまでです。もちろん、イギリス、フランスが核兵器を廃棄して非核ヨーロッパが実現すればすばらしい。
ちなみに、イギリスはまだユーロ導入していませんでしたね。

 

●だけど、英米仏ロは今月12日、アセアンが1997年に発効させた東南アジア非核兵器地帯条約の議定書への署名を保留・延期したんでしたっけ。この議定書は、核保有国がアセアン諸国に対して核兵器の使用、威嚇をしないと確約するものですから、同非核条約を真に実効性あるものにする大きな節目になるはずだったのです。保留の理由は、「自衛のための核兵器使用」は禁じられるべきでないということだそうです。

英米仏ロが、アセアン諸国あるいはアセアン地域において「自衛のために」核兵器を使う可能性って、いくらなんでもそりゃないでしょうと思います。アセアン諸国だってそう思ったでしょうね。アセアンはこれに懲りず、ひきつづきこれらの国と協議をした上で11月の首脳会議までに署名にこぎつけたいと、97年来の目標の実現にむけて粘り強く取り組む姿勢です。実現すれば、世界初の非核地帯になるはずです。

 

●さて、原水爆禁止世界大会が間近のわが国日本。本来、アジア非核地帯の旗振り役になるべきですが、アセアンほどの積極的なとりくみを日本政府がしたことがあるでしょうか? アメリカにオスプレイさえノーと言えない政府では……「原発が抑止力になる」なんて思考をしているようじゃ……ムリ?

平和構築の取り組みはむしろ積極的・攻勢的な外交で、軍事に頼る姿勢こそ消極的・受身的な外交といえるのではないでしょうか。そもそも、日米安保のもとでアメリカの世界戦略の枠内でしか外交戦略をもてない日本の立場を返上しなければ、攻勢的な平和外交など不可能かもしれません。